技能実習制度は「廃止」から「発展的に解消」に表現が変更
6月16日、政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を閣議決定しました。
骨太の方針によると、「現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消 して人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設するとともに、特定技能制度は、 制度を見直して適正化を図った上で引き続き活用していくなどの方向で検討する」としています。
4月10日に法務省が公表した有識者会議の中間報告たたき台では、技能実習制度を「廃止」するとしていましたが、その後、自民党外国人労働者等特別委員会などで、唐突な形でメディアに報道された「廃止」の言葉が一人歩きしてベトナムなど実習生の送出国に不安や動揺が広がったことなどに批判が集中し、技能実習制度「廃止」から「発展的に解消」に表現が変更になりました。一方、同特別委員会などでは、むしろ特定技能制度の方が問題が噴出しているうえ、特定技能は実習制度よりも技能が上という建前だが、実際には技能レベルが伴っておらず、実態と大きくかけ離れているとの指摘が相次ぎ、特定技能は「制度を見直して適正化を図る」との文言が追加された形です。
骨太の方針で示した技能実習制度と特定技能制度に関する記述は次の通りです。
(技能実習制度及び特定技能制度の在り方の検討)技能実習制度及び特定技能制度の在り方を検討するに当たっては、日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会の実現を目指し、両制度を外国人がキャリアアップしつつ国内で就労し活躍できる分かりやすいものとするとともに、人権侵害等の防止・是正等を図り、日本が魅力ある働き先として選ばれる国になるという観点に立たなけ ればならない。以上のことから、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識 者会議」における中間報告書を踏まえ、現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消して人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設するとともに、特定技能制度は、制度を見直して適正化を図った上で引き続き活用していくなどの方向で検討することとし 、さらに今後の有識者会議の議論等も踏まえ、制度の具体化に向けて取り組む。