政策インタビュー(3) 平沢勝栄・自民党国際局長

グローバル人材共生推進議員連盟会長に就任

グローバル人材共生の政策に関わる実務者、識者らの政策インタビューの第3回はグローバル人材共生推進議員連盟会長に就任する平沢勝栄衆院議員(自民党国際局長)から議連の目的や抱負などを聞きました=写真。平沢議員は警察庁出身で復興大臣などを歴任したベテラン議員です。

「外国人材を感謝の気持ちをもって受け入れることが必要」

―外国人材の受け入れについて基本的な考えを教えてください

平沢衆院議員 2018年12月の臨時国会で入管法を改正し、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」が創設され、出入国在留管理庁が設置されました。私は衆院法務委員会で与党の筆頭理事として対応にあたりました。その際に、技能実習制度の問題点が厳しく指摘されました。技能実習制度は技能実習生というより、むしろ日本側に問題があったといえます。私はそもそも技能実習生に対して「何かしてやる」という考え方がおかしいのではないかと思います。技能実習生に対してはむしろ「日本に来てくれてありがとう」といった感謝の気持ちが必要ではないかと考えます。なぜかと言えば、日本にとってプラスの事がはるかに大きいからです。最大のプラスは彼らが母国に帰った時、日本の応援団になってくれ、日本ファンが増えるということです。どこか上から目線の技能実習生という言葉にはやや違和感があります。もし適切な言葉があれば名称は変えるべきではないかと考えています。

―警察庁出身ですが、外国人犯罪についてどう考えますか。

平沢衆院議員 警察では外国人を多く受け入れればそれに対応して犯罪が増えると予想していました。そうした中で、訪日外国人旅行者は増加の一途をたどり、コロナ前の2019年には中国や韓国をはじめ海外から3000万人を超す外国人旅行者が訪れました。しかし、訪日外国人が増えたにもかかわらず、外国人の犯罪件数は逆に減少した実態があります。外国人犯罪が増えると予想した背景には何があるのでしょうか。日本人は異質なものを排除し、同質なものを大切にするところがあります。しかし、現在は国際結婚も増え、グローバルな時代になっています。同質な社会はひ弱なところがあり、異質な触れ合いの中には進展があることを忘れてはなりません。

―NAGOMiは技能実習制度と特定技能制度の整合性ある一貫性のある制度改革を提言しています。

平沢衆院議員 今の法律や制度は100満点ではありません。法改正や規則改定について「こうしてほしい」というところがあればNAGOMiとして積極的に提言してほしい。技能実習制度は厚労省と法務省、特定技能制度は法務省が所管していますが、同じ外国人政策を扱う所管官庁は一元化していくことについて私は賛成します。その中で、特に法務省には今日の外国人対応、入管行政は日本の将来を決める大事な問題であるとの認識と責任を持って取り組んでもらいたい。

―グローバル人材共生推進議員連盟の目的は何でしょうか。

平沢衆院議員 日本の国益にとってプラスになる外国人材を感謝の気持ちを持って受け入れるということが基本姿勢です。先ほども言いましたが、開発途上国から来た人たちだから「何かしてあげる」とさげすむところに問題の根本があります。例えば、米国から来た人々にこういった考え方は起こらないでしょう。最大の送出国であるベトナムは非常に親日的な国です。是非とも議連としてベトナムを訪問して送出機関や関係者らと活発に意見交換をしたい。我々としても送出国に要望すべきとことはきちんと要望して、グローバル人材共生の政策に反映させていきたいと思います。

【略歴】平沢勝栄(ひらさわ・かつえい)衆議院議員
東京17区(葛飾区、江戸川区の一部)選出、当選9回。警察庁長官官房審議官、衆議院外務委員長、拉致問題特別委員長、復興大臣など歴任。76歳。