政策インタビュー(7) 宮内秀樹・自民党文部科学部会長代理

グローバル人材共生の政策に関わる実務者、識者らの政策インタビューの第7回は、自民党文部科学部会長代理の宮内秀樹衆院議員から外国人の日本語教育や政策づくりなどについて聞きました。宮内議員は文部科学部会長代理として日本語教育機関の認定と日本語教師資格の法案提出に向けたプロジェクトチームの座長を務め、外国人の日本語教育の仕組みづくりに取り組んでいます。

日本語教育機関認定と日本語教師資格の法案提出に尽力

―日本語教育の仕組みづくりの基本的な考えを教えてください。

宮内衆院議員 自民党外国人労働者等特別委員会などで海外から来た方々から見て「我が国は生活がしやすいのかの観点が重要だ」と指摘されています。日本語学習者が多様化し、留学・就労・生活などそれぞれの分野でニーズに合った適切な日本語教育が求められ、その仕組みづくりが急務になっています。(岸田政権として)6月7日に閣議決定した「骨太方針2022」には「日本語教育の推進や外国人児童生徒等の就学促進を含め、『外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策』等に基づき施策を着実に実施し、外国人との共生社会の実現に向けて取り組む」と明記され、「新しい資本主義フォローアップ」には「日本語教師の能力等を証明する資格や日本語教育機関の水準の維持・向上を図るための仕組みについて、早期の法案の国会への提出を行う」と記載されています。

国が認定することで「見える化」が可能

―なぜ、日本語教育機関の認定が必要なのですか。

宮内衆院議員 日本語学校は高等教育機関への進学などばかりではなく、今や地域の日本語教育、就労者への日本語教育など様々な分野でポテンシャルを持っています。質の保証された日本語学校は地域社会のリソースとして活用されるべきです。しかし、留学の分野では不法滞在などの問題学生を抱える「非適正校」が約820 校のうち約2 割に達しています。一部ではブラックボックス化しているとの指摘もあります。日本語教育の重要性に鑑み、学校法人化を促進し、第三者評価制度を採り入れたうえで、法的に位置づけることが必要です。国が認定することで「見える化」が可能になります。

国家資格で日本語教師の重要性を広く社会に周知

―日本語教師の国家資格が必要な理由は何ですか。

宮内衆院議員 日本語教師は専門的な知識とスキルを備えたプロです。外国人材の受入れを含め、重要な職業であることを広く社会的に認識してもらう必要があります。日本人なら誰でも教えられるわけではありません。日本語がほとんどできない学習者に対しても、日本語でコミュニケーションをとりながら日本語を教えられる専門人材です。地位の向上、処遇の改善により、多くの若い人たちがこの職業を志し、誇りをもって活躍してもらうために国家資格を与えることは必要なことです。

―文部科学部会のプロジェクトチームの活動を教えてください。

宮内衆院議員 今年5月から私が座長となって検討を始めました。まずは東京都内の2カ所の日本語学校を視察しヒアリングしました。一部の日本語学校においては留学生を労働力(アルバイト)として期待することで不法滞在、「非適正校」を増やし、質の低下を招いているようなケースも散見されます。今後、プロジェクトチームで様々な課題について検討を重ねて、来年の通常国会には日本語教育機関の認定と日本語教師資格を骨子とする法案を提出し成立させたいと考えています。

人権の保障と持続可能な環境整備が大切

―今後の外国人材共生の在り方については。

宮内衆院議員 地元の自動車関連や食品加工の工場に出向いて直接、現場の声を聞いています。どこの現場でも技能実習生ら外国人材がいなければ成り立たない状態になっていて、本当の地域経済の現場とはこういうことかと痛感します。ですから、当たり前のように外国人材の人権が保障され、当たり前のように気持ちよく働ける、持続可能な環境整備が大切だと思います。

【略歴】宮内秀樹(みやうち・ひでき)衆院議員
衆院福岡4 区(福岡県宗像市、古賀市、福津市、糟屋郡)。当選4回。国土交通大臣政務
官、農林水産副大臣、文部科学委員長など歴任。現在は文部科学部会長代理。59歳。