政策インタビュー(6) 田畑裕明・総務副大臣

グローバル人材共生の政策に関わる実務者、識者らの政策インタビューの第6回は総務副大臣の田畑裕明衆院議員から外国人材受け入れの基本的な考え方や日本語教育などについて聞きました。田畑議員は衆院富山1区選出で自民党雇用問題調査会、同外国人労働者等特別調査会の事務局長を務め、グローバル人材共生の政策を熟知する政治家の一人です。

日本の就労を支えてもらっている認識 寛容な気持ちで受け入れを

―外国人材共生の基本的な考え方を聞かせてください。

田畑衆院議員 日本全体の労働政策を議論する党雇用問題調査会の事務局長を松野博一会長(現官房長官)のもとでコロナ禍が始まる令和元年秋から令和3年秋まで2年間務めました。その経験から、外国人の方々には日本人と同じ環境で就労していただく、技能実習生ら外国人材は日本の就労を支えてもらっているとの認識ですし、政府も共生社会という旗を振っている。外国人の方々が異国で働くことに我々は寛容な気持ちでしっかりと受け入れ、生活面など環境整備にまだまだ力を入れなければいけないという基本的な認識がある。日本は産業構造上、高度人材を含めて外国人材が支えになっています。

―地元富山県の状況はどうですか。

田畑衆院議員 もともと日系ブラジル人系が多かった。背景は富山県には自動車部品関連の下請け企業の事業所が多いからです。製造業のアルミ関係の製造工場にも日系ブラジル人が多かった。2000年代になって中国人となり、今はベトナム人の技能実習生が最多でありミャンマー人もいる。人口比で見ると、富山県は技能実習生を含めて外国人材が多い地域だと言えます。

多文化共生社会は地方単位にオーダーメイドで

―地方の課題はありますか。

田畑衆院議員 地方は人手不足が切実です。例えば、介護施設や医療機関の有効求人倍率は全国平均を上回って需要は深刻だ。しっかりした在留資格を持った外国人の方々が地方に入ってきやすい環境を作らなければいけない。富山県の西部では外国人の子弟が義務教育を受けており、外国人材と共存し共生している。ただ、日本語教育の教育機関は県内に2つしかなく、日本語教育の土台はまだまだ小さい。こうした課題に対応するため、地方自治体をはじめ、地域の皆様の理解、促進が大切だ。多文化共生社会はそれぞれ特色を持つ地方単位にオーダーメイドでつくっていかなければいけないと思います。

―技能実習制度、特定技能制度についてはどう考えますか。

田畑衆院議員 技能実習制度では若干、国が求める技能検定が実社会の状況とマッチしていない例がある。まずはそこから現実とマッチするように修正しなければいけない。特定技能制度がいろいろな面で突貫工事的に制定された側面は否めない。技能実習3年、特定技能5年は一つの方向性とは思うが、政府としてどのような人材をどう求めていくか。そのトータルビジョンを描いていかなければいけない。先を考えれば、技能実習制度と特定技能制度は一貫・一体化していくというのは議論しなければいけないでしょう。今は円安で悩ましい面があるが、選ばれる国「日本」であるために外国人の立場に立って考えることが何よりも重要です。

日本語教育にしっかり対応するため教師の国家資格化が必要

―最後に日本語教育について提案はありますか。

田畑衆院議員 日本語教育は文科省所管の日本語学校があるし、厚労省であれば受入れ企業が福利厚生の観点で語学教育を施している。経産省所管の日本語教育もある。省庁ごとの縦割りの日本語教育になって無駄なケースもあるので、まずはそこを取っ払いたいと思っている。日本語教師自体、ステータスがなく、きちんと処遇をされていない。これではいい人材がくるわけはない。やはり日本語教師の国家資格化が必要だと思う。多文化共生社会の中では語学、特に日本語は難しい言語であるわけだから相互理解するためには日本語教育を地方自治体レベルでもしっかりと対応をする態勢にしなくてはいけない。力をすると申し上げました。アジアの新しい国から外国人材の門戸を広げたいと思います。

【略歴】田畑裕明(たばた・ひろあき)衆院議員
衆院富山1区(富山市の一部)。当選4回。党雇用問題調査会事務局長、衆議院厚生労働委員会理事、党国会対策委員会副委員長など歴任。現在は総務副大臣。49歳。