政策インタビュー(5) 三宅伸吾・外務大臣政務官

グローバル人材共生の政策に関わる実務者、識者らの政策インタビューの第5回は外務大臣政務官の三宅伸吾参院議員から外国人材受け入れの基本的な考えなどについて聞きました。三宅議員は参院香川県選出でグローバル人材共生推進議員連盟や外国人労働者等特別委員会で積極的に発言し、首相特使として訪問した東ティモール民主共和国では政府要人から技能実習生の受け入れを要請されました。

多様性な文化、歴史、価値観を取り込んだ方が日本は輝く

―外国人材受け入れの基本的な考えを教えてください。

三宅参院議員 外国人材は規律を持ったうえで大量に受け入れるべきです。第一の理由は多様な文化、歴史、価値観を日本の社会に取り込んだ方が、グローバル化の進む世界の中で、我が国の経済社会がより輝きを増すことができると考えるからです。ほぼ同質の単一民族でやってきて良いこともたくさんありますが、均一性がゆえに様々な分野で遅れをとっているように思います。第二の理由は稼がないと国は潰れるという当たり前のことです。外国人の労働力に頼らなくても我が国の1億2千万人余が飢えることなく、また、他国からの主権侵害を抑止できるだけの自衛力を維持する財政的基盤を持つためにも稼がなくてはいけません。今の経済状況と日本の少子高齢化の現状を考えれば、自国民だけでは十分に稼げないと判断しており、労働力として外国人を受け入れなければならないと考えます。

議連で「尊皇開国」に舵を切るべきと発言

―4月7日の議連の初会合では尊皇開国に舵を切るべきと発言しました。

三宅参院議員 様々なコロナをめぐる水際対策を見ていると、一部の国会議員が政府の段階的受け入れ拡大にも反対し、もっとスローテンポでいいじゃないかと声高に主張していました。まるで「鎖国をしよう」と聞こえたので、議連総会では尊皇攘夷の時代で我が国は生きていけるんですか、生きていけないでしょうと。明治155年目を迎えるわけだから、今こそ、尊皇開国にしっかりと舵を切らないと海外から日本に来てもらえなくなりますよという強い思いがあったので、尊皇開国という表現になったわけです。

技能実習制度と特定技能制度をシームレスに

―技能実習制度と特定技能制度についての見解は。

三宅参院議員 技能実習制度では我が国のノウハウを発展途上国に技術移転をするという国際協力の名目で海外から若い方に来ていただいています。古川禎久法務大臣は年明け早々に「技能実習制度には本音と建前のいびつな使い分けがあるとの指摘に正面から向き合わなくてはいけない」と発言している。労働力の需給調整のためではないという建前をとっており、これを使い分けと指摘されているわけです。一議員の立場で言えば、技能実習制度と特定技能制度はシームレスにしなければいけない。これは衆目のほぼ一致しているところだと思う。技能実習で来て、制度上、特定技能にはいけないというのはいくら何でも不親切だ。技能実習2号から特定技能1号に移る時には、原則、2号の職種は一定の能力があれば全て特定技能に移れるようにした方がいい。
日本弁護士連合会は技能実習制度を廃止せよと言っているが、今の技能実習生が担っている仕事を外国人にさせないなんてことになれば地域経済は止まります。そういう意味で制度の実質的な廃止はあり得ない。技能実習制度の改善や名前を変えることはあっても、実質を変えるということには反対です。

―改善すべき点は何ですか。

三宅参院議員 極めて例外的ではあるけれど人権侵害行為が起きている。99%は日本人と同等に外国人の世話をしており、外国人も「日本に来て良かった」と思っている。ただ、失踪などの問題が起きている。技能実習制度で国際的に最も批判を受けているのが、例外的ではありますが、人権侵害。その温床に転籍ができないことがあるのは間違いがない。だから、ここをどう改善するかが最大の関心事になっている。

東ティモール政府要人から技能実習生受け入れの要望

―外務大臣政務官は東ティモール民主共和国を訪問しましたね。

三宅参院議員 首相特使として5月18日から東ティモール民主共和国を訪れ、ジョゼ・ラモス=ホルタ新大統領の大統領就任式に出席しました。東ティモールは21世紀最初に独立した建国20周年の親日国です。政府要人の方々から「日本に技能実習生を送りたい」と熱烈な要望がありました。多くの若い方はインドネシア語ができるから、まずは言葉が共通しているインドネシアの関係機関などとしっかり情報交換をして勉強をしつつ、東ティモール駐日大使館が日本の評価の高い監理団体とコンタクトしてノウハウを積み上げたほうがいいとアドバイスし、是非とも協力をすると申し上げました。アジアの新しい国から外国人材の門戸を広げたいと思います。

【略歴】三宅伸吾(みやけ・しんご)参院議員
香川県選出。当選2回。日本経済新聞編集委員から政界へ進出し、参院外交防衛委員長、自民党外交部会長代理など歴任。現在は外務大臣政務官。60歳。